モンスターペイシェント

モンスターペイシェントとは

モンスターペイシェント(monster patient)
医療機関において従業員や他の患者様に対して自己中心的かつ理不尽な振る舞いを繰り返す患者様やその家族を指します。これらの患者様は、待ち時間や治療結果に対する不満だけでなく、クリニック側の説明にも耳を傾けないことが多く、時にはモラルに欠けた行動に及ぶことがあります。これを「ハードクレーム」と呼ぶことがありますが、こうした患者との対応は医療機関にとって大きな課題です。

応対義務の厳しさと現実的な制約

クリニックはモンスターペイシェントに対してどう対応していけばいいのか。
「クリニックに入れずに追い払えばいい」とお考えかもしれませんが、応対義務がある医療機関において慎重に行われる必要があります。医師には正当な理由がない限り患者を拒否することができず、その行動がエスカレートする前に適切に対応することが求められます。

一方で、現実には患者を拒否することが難しく、クリニック側が冷静に対応するための戦略が必要です。

ハードクレーム対応の鍵は対話力

感情のもつれをほぐす対話力の重要性

ハードクレームへの対応の鍵は、対話力にあります。感情のもつれやフラストレーションが根底にある場合が多いため、冷静な態度で対話し、相手の要求を呑むことなくも、理解と納得を促進するようなコミュニケーションを心がけるべきです。ただし、冷静かつ毅然とした態度で接することも大切であり、「訴える」「マスコミの言う」などの脅しにも臆せずに対応する姿勢が必要です。

対応者の選定と連携の重要性

対応者の選定も重要で、最終責任者以外の者が良いとされています。しかし、事情を把握できる者がいない場合は最終責任者が対応せざるを得ないこともあります。冷静で対応でき、かつ事情を理解している者が最適です。また、待合室や他の患者様に迷惑をかける可能性がある場合は、別室での対応や特定の日時・場所での面談を提案することも考慮すべきです。

迅速な対応と事前の対策

ハードクレームへの対応として、待合室には注意書きを掲示し、患者同意なしの録音・録画も一つの手段として考慮されるでしょう。これらの対策を講じることで、モンスターペイシェントとの適切な対応ができ、医療機関全体の運営においてスムーズな対処が可能となります。

警察への通報・法的手段の活用

最後に、暴力や犯罪行為が発展する可能性がある場合は、警察への通報も視野に入れて対応したほうが良いです。警察が直ちにモンスターペイシェントを逮捕するなどという事態は稀ですが、その場の事態を収拾してくれることもあります。暴力行為や破壊行為があった場合には他の患者様に危害が及ぶ可能性や後のクリニックの信用にも関わるため、直ちに通報しましょう。

また、法的な手段や弁護士への相談も検討すべきです。これにより、患者様との対話だけでなく、必要に応じて法的な措置を講じることでクリニック自体の安全性と信頼性を確保できます。

段階的な対応のための予防策

最後に、ハードクレームに対する段階的な対応として予防策も重要です。待合室や受付には、「暴言・暴力・迷惑行為等お断り」や「他の患者様に迷惑になるような行為はご遠慮ください」、「迷惑行為等の内容によっては診療を拒絶することもあります」などの掲示を設置しましょう。これにより、ハードクレームに対する予防策を講じ、クリニックの運営を円滑に維持できるでしょう。

これらの対応策や予防策を実施することで、モンスターペイシェントとの適切な対応ができ、医療機関が患者様との信頼を築きながら、円滑な運営を実現できるでしょう。